評価:★★★★☆
全長数kmに及ぶ竜が空を舞う世界。竜の健康を保ち、同時に世界の安寧を守るのが「竜の医師団」。その一員になるべく、竜医学を学ぶリョウとその仲間たちの成長と活躍を描くシリーズ、その3巻・4巻。
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全長数kmに及ぶ竜が空を舞う世界。竜の一挙手一投足は人間世界を揺るがせ、時に巨大な災厄ともなるが、同時に大いなる豊穣をもたらしもする。竜の健康を保ち、同時に世界の安寧を守るのが「竜の医師団」だ。
その医師団の一員になるべく、竜医学を学ぶリョウとその仲間たちの成長と活躍を描くのがこのシリーズ。
『3』
「竜の医師団」が存在するカランバスの地に新たな竜が飛来するが、なんと老竜ディドウスの巣に卵を産んで飛び去ってしまう。医師団たちが呆気にとられる中、卵から赤ん坊の竜が孵化する。ディドウスは〈托卵〉されたのだ。
そして医師団は困惑する。彼らが診療経験があるのは老竜ディドウスのみ。数千年の寿命を持つ竜ゆえ、誕生直後の幼竜についての知識は皆無に等しかったのだ。
幼竜はチューダと命名されるが、さらに新たな事実が明らかになる。チューダは生まれながらにして翼に障害を持っていたのだ。このままでは空を飛べない・・・
「竜の医師団」が存在するカランバスの地に新たな竜が飛来するが、なんと老竜ディドウスの巣に卵を産んで飛び去ってしまう。医師団たちが呆気にとられる中、卵から赤ん坊の竜が孵化する。ディドウスは〈托卵〉されたのだ。
そして医師団は困惑する。彼らが診療経験があるのは老竜ディドウスのみ。数千年の寿命を持つ竜ゆえ、誕生直後の幼竜についての知識は皆無に等しかったのだ。
幼竜はチューダと命名されるが、さらに新たな事実が明らかになる。チューダは生まれながらにして翼に障害を持っていたのだ。このままでは空を飛べない・・・
『4』
カランバスの東方、洋上にあるイズルは〈竜舞う国〉の異名通り、多くの竜がやってくることで知られる。竜医学においても最新の知見と技術を有する先進国だ。
ディドウスの主治医であるニーナが率いる〈医療交流団〉がイズルを訪問することになり、リョウたち医学生もそれに加わる。訪問の目的はチューダの翼の治療法を手に入れること。
その地でリョウたちは竜医師・クズリと出合う。イズルの竜医学において大きな影響力を持つ彼は、”ある策略” を胸に秘めていた・・・
主人公のリョウ、その学友のレオニートとリリの三人組をはじめ、ディドウスの主治医のニーナや他の医師・医療スタッフたちのキャラ立ちがとにかく素晴らしい。
三人組が学園生活に一喜一憂するあたりの会話を追うだけでも楽しくて頬が緩んでしまうし、彼らを導く大人たちのプロフェッショナルぶりも頼もしい。
彼らの治療対象は竜だが、病や怪我に対峙する医師たちの姿勢は人間に対するそれと変わらない。というか、竜の治療を通して「医学」のありかたや「医師」のありようを描いている、とも云えるシリーズだ。
1巻2巻でもそうだったが、今回の3巻4巻で取り上げられるのは「障害を持って生まれた子」に対してどう考えるか、というある意味とても深刻で、考えされられる問題だ。
リョウやニーナたちは、チューダの翼を治療して空を飛べるようにする、というのが基本方針だが、イズル国のクズリはそれとは考えを異にする。
そのあたりは本編で語られるので深入りはしないが、この3巻4巻は竜への医療を通じて「医学」への問題提起が深く描かれている。
軽妙な会話やアクション&スペクタクルが満載のストーリーの中に、そういうものをしっかり入れ込んでくる作者の筆運びは達人の域になっていると思う。
そのあたりは本編で語られるので深入りはしないが、この3巻4巻は竜への医療を通じて「医学」への問題提起が深く描かれている。
軽妙な会話やアクション&スペクタクルが満載のストーリーの中に、そういうものをしっかり入れ込んでくる作者の筆運びは達人の域になっていると思う。
3巻末の三村美衣氏による「解説」の中で、このシリーズは6巻までの刊行が決まっているとあるのだが、三村氏と同様、私も末永い続編刊行を願う。こんな面白いシリーズを6巻で止めてしまうのはもったいない。


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