神秘のセラピスト 天久鷹央の推理カルテ 完全版



評価:★★★

 人混みの中に入ると指先が腐り始める青年、鍼灸師の治療で20歳以上も若返った女性、”聖痕” をもつ ”預言者” によって骨髄移植を阻まれている白血病の少女・・・
 神秘にもオカルトにも見える三つの事件に挑む天才診断医・天久鷹央の活躍を描く、医療ミステリ・シリーズ、第7巻。

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「Karte.01 雑踏の腐敗」

 高校卒業後に一年間バイトに励み、やっと学費を工面した宮城辰馬(みやぎ・たつま)は待望の状況を果たした。しかし渋谷駅前のスクランブル交差点で体の異変を知る。めまいと同時に両手の指先がどす黒く変色していく。まるで急速に腐敗し始めたように・・・


「Karte.02 永遠に美しく」

 5年前に夫を亡くした72歳の南原松子(なんばら・まつこ)。しかし鍼灸師・神尾秋源(かみお・しゅうげん)の ”気” を使った施術を受け始めてから、みるみる若さを取り戻していく。外見はあたかも20歳以上も若返ったように見えるのだが・・・


「Karte.03 聖者の刻印」

 9歳の羽村里奈(はむら・りな)は白血病が再発して天久総合病院に入院している。命を救うには骨髄移植しかない。しかし里奈の母・佐智(さち)は移植を拒否する。理由は ”預言者” のお告げだという。
 佐智が通っているというカトリック教会へ潜入した鷹央と小鳥遊は、”預言者” と呼ばれる天草炎命(あまくさ・えんめい)という男が起こす ”奇跡” を目撃する。
 ”預言” を始めると、炎命の目からは血のような赤い涙が流れ出し、両手の平は十字架の形に腫れ上がっていったのだ・・・
 かつて鷹央と対決したこともある女詐欺師・杠阿麻音(ゆずりは・あまね)が再登場し、今作では鷹央の ”預言者” のペテン解明に協力する。さらにはバチカンからは ”奇跡調査官” までやってくるという大サービス(笑)。


 毎度のことだが、事件のネタ自体は素人の手に負えるものではない。当てずっぽうでも真相に至る人は少ないだろう。

 キャラ同士の軽妙な会話にニヤリとしたり、その行動をじっくり追っていくのが、このシリーズの楽しみ方だと思う。それと同時に医療と向き合っている者たちの使命感や葛藤といった思いも伝わってくる。それもこのシリーズの魅力。

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