先日の10月6日(日)、表記のコンサートへ行って参りました。いつものことですが、かみさんと二人連れです。
記事に挙げるのが一週間近くも遅れたことに理由はありません。強いて挙げれば私がナマケモノだったせいですね(笑)。
奇しくもこの日は『宇宙戦艦ヤマト』TVシリーズ第一作目、その第一話の放映からちょうど50年目の節目の日に当たります。
50年前のその日を、私がどんなふうに迎えたかはこのブログで何回か書いたと思うのでここでは割愛します。
あちこちでそれを記念するイベントが開かれたり、これから予定されているみたいですが、このコンサートもその一環で開かれたものです。
場所は『ギャラクシティ 西新井文化ホール』。東武スカイツリーライン西新井駅から徒歩で5分ほどのところにあります。
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作曲家の宮川泰が宇宙戦艦ヤマト製作者の西﨑義展のプロデュースにより、
1977年に発表した『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』。
半世紀の刻を超え、宇宙に一番近いホールで遂に “初演”!
熱狂的なヤマトファンである指揮者:池田開渡の『交響組曲宇宙戦艦ヤマト』を演奏したい!という思いと、新世代のプロオーケストラ「おーけすとら・ぴとれ座」の熱意が宮川彬良を動かした。
失われた楽譜が期せず発見されたのも運命か。
宮川彬良を音楽監修に迎え、全曲の楽譜が完全復刻!
若いミュージシャンたちのエネルギーにより “宇宙に一番近いコンサートホール” で、半世紀の眠りから遂にヤマトが復活する!
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それでは、コンサートの内容について簡単に書いていきます。
1部
・ニュルンベルクのマイスタージンガー 第1幕前奏曲(ワーグナー)
曲名は知らなくても、メロディーはよく知られている。TVCMなどでもしばしば使われてる有名な作品ですね。
・幻想序曲 ロメオとジュリエット(チャイコフスキー)
宮川泰氏のヤマト音楽にはチャイコフスキーの影響が強い、ってコンサートのパンフにありましたが、『ヤマトIII』なんかもろそうでしたね。
こんなこと書いたら怒られそうだけど、この曲もところどころ取り出して、「『完結編』の未使用BGMだよ」って言われたら一瞬信じてしまいそう(笑)。
2部
~彬良先生のトークタイム~
ここでは、宮川彬良さんからこのコンサートが成立するに至った経緯が語られました。
このギャラクシティの館長さんがヤマトファン、プロデューサーさんがヤマトマニア、そして指揮者の池田開渡さんが、(親の影響で)これまたヤマトファンだったということで、今回の開催に至ったということです。
ちなみに「指揮者さんは英才教育されてたってことなんだね」って、帰宅後に家人へ話したら「それは ”洗脳” というんだよ」って返されてしまいました(おいおい)。
指揮者の池田さんは32歳という若さで、このオーケストラも平均年齢はそれくらいだそうです。たしかに、若い人がたくさんいましたね。
彬良さんから「君たちは『クインテット』を観て育った世代だろうに、なんでヤマトをやるの?」って突っ込まれてましたが(笑)。
この交響組曲は12曲構成なのですが、いくつかの曲は今までさまざまなヤマトコンサートで演奏されてきました(私も「真っ赤なスカーフ」は複数回聞いたことがある)。でも全曲通して演奏されたことはなかったらしいです。
演奏されなかった理由の一つに、オーケストラ用の楽譜がなかった、ということがあったようです。宮川泰氏は楽譜はけっこう捨ててしまう人みたいで、残っていないと思われていたそうです。
ところが彬良さんがリメイクシリーズ『3199』の楽曲制作の参考にしようと『ヤマトよ永遠に』の楽譜を探したところ、たまたまお母様(泰氏の奥様)の手元に「交響組曲」の楽譜が残ってたのが判明したとか。
楽譜の一部は、ホールのロビーに展示してありました。

残っていたのは録音用のもので、収録にあたっていろいろ変更もされていたのでそのままでは使えなかったとのことですが、それを池田さんと、このオーケストラのチェロ奏者(名前は失念しました。ゴメンナサイ)の方がオーケストラ演奏に使えるように修正?復元?したということです。
ちなみにこのチェロ奏者さん、演奏中は満面の笑みでノリノリで演奏してたのがとても印象に残っています。
そしてトークタイムが終わると、彬良さんはステージを降りて客席につきました。観客の一人となって「交響組曲」を聞くことにしたようです。
そしてこのとき彬良さんが座った席が、私たちの席からは直線距離で7~8mほどのところ。いままでコンサートで何回か彬良さんの姿を見てきましたが、今回が最接近記録ですね(笑)。
そして本日のメインイベント。
交響組曲 宇宙戦艦ヤマト(宮川 泰)
「序曲」
「誕生」
「サーシャ」
「試練」
「出発(たびだち)」
「追憶」
「真赤なスカーフ」
「決戦」
「イスカンダル」
「回想」
「明日への希望」
「スターシャ」
47年前に交響組曲のLPレコードが発売された時のことは、このブログの中でも何回か書いてきました。買ってみたら不良品でがっかりして、販売店まで取り替えてもらいにいったこととか「何もかも、みな懐かしい」思い出です(笑)。
それでいて、初めて聞いた時は「感激」よりは「違和感」のほうが大きかった記憶があります。こちらはTVのBGMのイメージで待ち受けてるところに、フルオーケストラの重厚な音楽。かなり「コレジャナイ」感もありました。
まあ、聞いていくうちに「これはこれでアリ」という感覚にもなってきて、聞く回数も重ねていきました。
そして昨日のコンサート。CDでは何回も聴いてきた曲ですが、やはり生の迫力は桁違い。当初は「コレジャナイ」と思った編曲も、(当たり前ですが)オーケストラでの演奏を前提に、その魅力を充分に引き出すという点では実によくできたものだったことを実感しました。47年前の無知だった自分を思いだし、反省することしきりでした。
「真っ赤なスカーフ」のトランペットソロを担当したのが、若い女性だったのも意外でした。それもかなり小柄な方だったので二度びっくり。でも力強い演奏でとてもよかったです。
そしてこのトランペット奏者さんを含めて、皆さんとっても若い。そして演奏中の顔つきが実に楽しそうなのが印象的でした。そして曲中の強弱硬軟あらゆる局面で、とてもメリハリのきいた、勢いのある演奏だったように思います。
これも若さのもたらすものなのでしょうか。自分がトシをとったせいか、若者が頑張ってるところを観ると、とても元気がもらえます(笑)。
私個人については、演奏中に三回涙がこぼれてしまいました。
一回目は「誕生」で、終盤がヤマトのテーマで盛り上がるあたり。このメロディーが流れると涙が出るのは、もう条件反射ですね。
二回目は「回想」。沖田艦長が亡くなるシーンを思い出しましたらもうダメ。
そして三回目は「明日への希望」。この曲で泣いたのは初めてかも知れません。それくらいオーケストラの演奏に感動してしまったのでしょう。
そして終曲の「スターシャ」。この交響組曲のために書き下ろされたボーナストラック的な曲でしたが、何度聞いても素晴らしい。
「明日への希望」のアレンジが『2199』最終回で流れたように、交響組曲からリメイク版へフィードバックされた例があるのですから、この曲もいつか使われないかなぁ(『3199』だったら可能性があるかも)と思ってます。
アンコールは「大いなる愛」。そして「宇宙戦艦ヤマト」。
毎度のお約束ですが、場内全員での合唱です。私の隣にいた年配の男性は、朗々とした声で見事に歌い上げておられましたが、私は感激しすぎて声が出ませんでした(おいおい)。
そして最後は、万雷の拍手に乗って、もう一度「宇宙戦艦ヤマト」。
終わってみると、(失礼な言い方かも知れませんが)事前の予想を遙かに超えて素晴らしいコンサートでした。
TVシリーズが始まって50年目の節目の年、節目の日にこのような体験ができて、とても幸せな一日でありました。
さて、この日の夜には新宿ピカデリーで、またまたヤマトのイベントがあるのですよね。でも、以前の記事にも書きましたが、現在の我が家はちょっと夜には外出しずらい状況にあるので、今回は見送り。うーん、残念。
聞くところによると、そこで庵野秀明氏がヤマトの新作劇場用アニメの製作に入ると発表されたとか。驚きましたが、「ついに来たか」という感じも。
これについては具体的な情報に乏しいので、ある程度内容が明らかになってから別記事で取り上げようと思います。
コンサートが終わってロビーに出てきた人たちの声を聞いていると、これから新宿へ向かうと覚しき方々もけっこういるみたい。
「いいですね、楽しんできてください」
そんなことを思いながら西新井を後にしたのでありました。
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