* * * * * * * * * *
時は2020年、コロナウィルスが猛威を振るい日常を奪われた日本。
国内どころか世界中が大混乱に陥る中、首相官邸でクラスターが発生、あろうことか総理大臣が急死。そこで政府が実行した最終手段、それは「AI・ホログラムにより歴史上の偉人たちを復活させ、最強内閣をつくる」という前代未聞の計画だった。
総理大臣を託されたのは “江戸幕府を作り上げた伝説の男” 徳川家康(野村萬斎)。そして、日本史に燦然と輝く大スターたちが議員バッジをつけて入閣。
官房長官を “幕末の風雲児” 坂本龍馬(赤楚衛二)、経済産業大臣を “最強にして最恐の革命家” 織田信長(GACKT)、財務大臣を “空前の成り上がり者” 豊臣秀吉(竹中直人)、ほかにも紫式部(観月ありさ)、聖徳太子(長井短)、北条政子(江口のりこ)、徳川吉宗(髙嶋政宏)、徳川綱吉(池田鉄洋)、足利義満(小手伸也)など、通称 ≪偉人ジャーズ≫ によるドリームチーム内閣が誕生する。
圧倒的なカリスマに加え、政策を推し進める “えげつない” 実行力に人々は驚愕し、日本中が熱狂していく。
そんな中、テレビ局の新人記者・西村理沙(浜辺美波)はスクープを取ろうと政府のスポークスマンである坂本龍馬に近づくのだが、ひょんなことから偉人ジャーズの活躍の裏に渦巻く黒い思惑に気付いてしまう――
果たして、陰謀の正体とは?
そして、日本史に新たに刻まれる “事件” の真相とは?!
* * * * * * * * * *
正直、いわゆるゲテモノ映画だと思ってました(失礼!)。
実際、映画の冒頭からしばらくの間は、あまりの発想の突飛さに「楽しむ」より「戸惑う」感覚の方が大きかったように思います。
基本はコメディ映画(のはず)なので、笑うべきところ(笑わせようとしているところ)が随所にあったけど、いまひとつノリ切れなかったのは、そのせいでしょう。
秀吉が「心配ご無用!」とか「どうする、家康!」とか叫ぶなど、過去のドラマや映画などから持ってきた(と思われる)小ネタもあちこちに散りばめてあるんだけど、そのへんも不発気味。
「これ、一生懸命に考えたんだろうなぁ」と思うと、ちょっと残念な気もしたりして(笑)。
それでも、なんとか観続けられたのは、俳優陣の魅力に負うところが大きいと感じました。中でも三英傑を演じた野村萬斎、GACKT、竹中直人の三人は図抜けていたと思います。
終盤になると「家康 vs 秀吉」という、”内紛” に焦点が移っていくのですが、長年にわたって秀吉を演じ続け、すっかり役柄を自分のものにした竹中直人に対し、野村萬斎も流石の貫禄で一歩も引かずに渡り合う。このあたりは見応えがあったと云えるでしょう。
二人の対決によって、観客はいろんなことを考えさせられることになります。
政治とは、経済とは、選挙とは、民主制とは、ポピュリズムとは・・・
竹中直人演じる秀吉の身振り手振りが、だんだんドナルド・トランプみたいに見えてくるのは、わかってやってる(演出してる)んでしょう。
このあたりは「まさかこうなるとは」と思わせる、意外にシリアスな展開で、序盤からは想像もつかないでしょう。
私はけっこう楽しんだのですが、「映画館に来てまで、そんな説教を聞きたくないよ」って感じる人も少なからずいるでしょう。このへんは評価の分かれるところかと。
TV局の記者役の浜辺美波さんは、たぶん一般人(+観客)の代表としての視点人物として設定されたのでしょうが、如何せん ”偉人ジャーズ” のキャラが強烈すぎて、いささか霞んでしまったように思います。
「浜辺美波さんを観るために映画館に来た」人にとっては、ちょっとアテが外れたかも知れません。
あと、作中のBGMで『大江戸捜査網』のテーマが使われたんだけど、これがドンピシャリにハマってて、これは素晴らしかった。
家に帰ってから YouTube で探して、フルコーラスで聴いてしまったよ(おいおい)。
この記事へのコメント