金田一耕助の冒険



金田一耕助の冒険 (角川文庫)

金田一耕助の冒険 (角川文庫)



  • 作者: 横溝 正史

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA

  • 発売日: 2022/06/10

  • メディア: 文庫






評価:★★☆



 横溝正史復刊シリーズの一冊。

 「~の中の女」というタイトルで統一された11編を収録しているけど、作品相互につながりはない。





「霧の中の女」

 霧深い夜、銀座の宝石店で万引きをした女は、店員を刺し殺して逃亡する。



「洞(ほら)の中の女」

 引っ越した先の家の庭にある大木。その洞からセメント漬けの女の死体が。



「鏡の中の女」

 カフェの鏡に映った女の唇から、読唇術で殺人計画を読み取った女性は。



「傘の中の女」

 海水浴場。金田一の隣のビーチパラソルの下で、女の死体が発見される。



「鞄の中の女」

 自動車のトランクの中にあって死体と思われたものは、実は彫刻だったが。



「夢の中の女」

 ”夢見る夢子さん” と呼ばれていたパチンコ屋の看板娘が殺される。



「泥の中の女」

 訪ねた家の中に死体を発見した女。巡査を呼んできたら死体は消えていた。



「棺の中の女」

 美術館から運び出された石膏像の中から、死体が現れるが。



「瞳の中の女」

 1年前、頭を殴られて記憶を失った男。唯一残った記憶は、ある女性の面影。



「檻の中の女」

 隅田川を漂うボートの上に、若い女を閉じ込めた鉄格子の檻が載っていた。



「赤の中の女」

 新婚の夫婦がそれぞれの知人に出会い、翌朝、新妻の死体が海に浮かぶ。





 それぞれ文庫で30~60ページとコンパクトなのだけど、かなりバラエティに富んだ作品集。横溝正史という人の引き出しの多さを改めて感じる。



 角川文庫の復刊シリーズは、この後はジュブナイル作品の復刊に移行してしまって、一般向けは終わってしまったみたい。復刊してほしい作品はもっとあるんだけどね。

 でもまあ、ジュブナイルも読んでみようかと思う。個人的には『怪獣男爵』を楽しみにしてる。





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