評価:★★☆
横溝正史復刊シリーズの一冊。
「~の中の女」というタイトルで統一された11編を収録しているけど、作品相互につながりはない。
「霧の中の女」
霧深い夜、銀座の宝石店で万引きをした女は、店員を刺し殺して逃亡する。
「洞(ほら)の中の女」
引っ越した先の家の庭にある大木。その洞からセメント漬けの女の死体が。
「鏡の中の女」
カフェの鏡に映った女の唇から、読唇術で殺人計画を読み取った女性は。
「傘の中の女」
海水浴場。金田一の隣のビーチパラソルの下で、女の死体が発見される。
「鞄の中の女」
自動車のトランクの中にあって死体と思われたものは、実は彫刻だったが。
「夢の中の女」
”夢見る夢子さん” と呼ばれていたパチンコ屋の看板娘が殺される。
「泥の中の女」
訪ねた家の中に死体を発見した女。巡査を呼んできたら死体は消えていた。
「棺の中の女」
美術館から運び出された石膏像の中から、死体が現れるが。
「瞳の中の女」
1年前、頭を殴られて記憶を失った男。唯一残った記憶は、ある女性の面影。
「檻の中の女」
隅田川を漂うボートの上に、若い女を閉じ込めた鉄格子の檻が載っていた。
「赤の中の女」
新婚の夫婦がそれぞれの知人に出会い、翌朝、新妻の死体が海に浮かぶ。
それぞれ文庫で30~60ページとコンパクトなのだけど、かなりバラエティに富んだ作品集。横溝正史という人の引き出しの多さを改めて感じる。
角川文庫の復刊シリーズは、この後はジュブナイル作品の復刊に移行してしまって、一般向けは終わってしまったみたい。復刊してほしい作品はもっとあるんだけどね。
でもまあ、ジュブナイルも読んでみようかと思う。個人的には『怪獣男爵』を楽しみにしてる。
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