髑髏城の花嫁




髑髏城の花嫁 (創元推理文庫)

髑髏城の花嫁 (創元推理文庫)



  • 作者: 田中 芳樹

  • 出版社/メーカー: 東京創元社

  • 発売日: 2021/03/19

  • メディア: 文庫






評価:★★★



19世紀半ば、ヴィクトリア朝の英国を舞台にして

エドモントとメープルの叔父姪コンビが遭遇した

怪奇な事件と冒険を描く、その第2作。



1856年、クリミア戦争は終結した。

英国軍人として従軍していたエドモントは

除隊の条件として、負傷で衰弱したライオネル・クレアモント少尉を

ワラキア(ルーマニアの南部)まで送り届けることを命じられ、

戦友のマイケル・ラッドとともにダニューブ河のほとりにある

”髑髏城” へ向かう。そこは文字通り髑髏のような形の怪異な城だった。



翌1857年。復員したエドモントはメープルとともに

ミューザー良書倶楽部(セレクト・ライブラリー)で働いていた。



フェアファクス伯爵家で代替わりがあり、

それに伴って図書室を改装するという。

社長命令でフェアファクス家に赴いた二人を迎えたのは

ライオネル・クレアモント。伯爵家を継いだのは彼だったのだ。



太古から続く一族の末裔で、巨大な野望を持つライオネルを軸に

エドモントの悪友で胡散臭さ満開のラッド、

メープルの寄宿学校時代の同級生ヘンリエッタ・ドーソンと

賑やかなメンバーが登場して大混戦を繰り広げる。



前作に引き続き文豪ディケンズも登場し、ドタバタ劇に花を添える。



いちおうホラーに分類されるのだろうが、怖い雰囲気はほぼ皆無。

例によって、キャラクター同士の軽妙な掛け合いが

いちばんの ”売り” だろう。

(まあ田中芳樹に純粋な恐怖ものを期待する人はいないだろうけど。)


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